
カニは、世界で約5,000種いるといわれているほど種類の多い生き物の一つです。以前、日本で食用とされているカニの種類についていくつかご紹介しましたが、今回は「イバラガニ」という種類についてお話します。
イバラガニとは?内子が美味しい!

イバラガニは「タラバガニ科」に属する大型のカニで、その収穫量は非常に少なく、市場に出回ることはほとんどありません。名前の由来はその名の通り、体中に棘(いばら)という植物のようなトゲがたくさん生えているところからきました。また、トゲや脚が赤色のため、「アカガニ」と呼ばれることもあります。
カニは、大きく分けて「カニ類」「ヤドカリ類」の二つに分けられますが、イバラガニはタラバガニ同様、「ヤドカリ類」に含まれます。イバラガニの身は、タラバガニに引けをとらないほどの味で、しっかりとした甘みを感じられますが、タラバガニと同じくミソはほとんどありません。しかし、身にボリュームがあるので食べ応えがあり、特に内子(卵巣)が美味しいとされています。イバラガニの旬は12月~3月ごろで、タラバガニと同じ時期になります。
このカニは、水深300~600メートルにすむ日本固有種で、ほとんど収穫できません。そのため市場に出回っているイバラガニは、「イバラガニモドキ」と呼ばれるカニがほとんどです。
イバラガニモドキとは?
イバラガニモドキはイバラガニの近縁種ですが、この二種のカニは別物です。名前の通り見た目がとてもよく似ていますが、「イバラガニ」は身にあるトゲが鋭いのに対して「イバラガニモドキ」はイバラガニに比べると突起程度のトゲなので、よくみれば区別は難しくありません。
先ほども触れましたが、イバラガニとして市場に出回っているのはほとんどが「イバラガニモドキ」です。イバラガニモドキは、オホーツク海やカムチャッカ半島、宮城沖や相模湾、遠州灘と幅広く生息しています。カニの旬といえば冬のイメージがありますが、イバラガニモドキの旬は6月~8月ごろの夏になります。
イバラガニとイバラガニモドキは、味としてはイバラガニモドキのほうが美味しいとされています。タラバガニと同様な美味しさのあるイバラガニ(モドキ)はタラバガニより価格も安いので、出回る量は少ないですが、リーズナブルに美味しいカニを楽しむことができますよ!
タラバガニによく似ている「アブラガニ」って?

タラバガニ科には、イバラガニだけではなく「アブラガニ」や「花咲ガニ」などが分類されます。その中でも、アブラガニは見た目だけでなく味もタラバガニと非常によく似ているカニです。
アブラガニは、ボイルされる前は少し青紫色をしています。以前は、タラバガニと似ているタラバガニ」として販売されていたこともありますが、タラバガニとは別物であるため、今では「アブラガニ」として流通しています。アブラガニの身は弾力があり、本タラバガニに劣らず、特に脂の乗ったものは非常に美味しいです。
タラバガニと見分ける方法は、甲羅にある「トゲ」の数の違いです。タラバガニは甲羅の下部に6つ、アブラガニは甲羅の下部に4つのトゲがあります。
カニ味噌は脳みそではなく、中腸線!

カニといえば、カニ味噌!というほどカニ味噌が好きな方は多いですが、カニ味噌とはいったい何かご存じでしょうか?「ミソ」がつくことから「脳みそ」だと思っている人は意外と少なくありません。実は、あの部分は脳みそではなく、内臓のうちの「中腸線」という部分なんです。中腸線とは、すい臓や肝臓の機能をもつ内臓の一部です。
カニにはどんな種類がいる?
今回ご紹介したイバラガニだけではなく、カニにはたくさんの種類がいます。日本で食べられているカニの種類についてはこちらを参考にしてみてください。
水揚げ量の少ないイバラガニを食べてみませんか?
今回お話したように、イバラガニは非常に水揚げ量が少ないカニの種類の一つですが、かわさき・シン市場では約販売でイバラガニをご家庭で楽しむことができます。ぜひ一度、タラバガニに引けをとらない「イバラガニ」を堪能してみてください!